■ 食べ物は「からだとこころ」をつくるもの

私たちのからだは、日々食べているものでできています。
中医学では、食べ物から得られるエネルギーを「後天の気(水穀の精気)」と呼び、気血を養い、生命を支える大切な源とされています。

だからこそ、食材はただお腹を満たすだけでなく、こころとからだを整えるものでありたい。
それが私たち「京都 楽楽堂」の想いです。

■ 「病は口から入る」という教え

昔から「病は口から入り、禍は口から出る」と言われてきました。
たとえ身体によいとされる食べ物でも、農薬・肥料・添加物・保存方法などによっては、本来の力が損なわれ、時には害になることもあります。

私たちは、自分の五感を信じることが大切だと考えます。
見た目・におい・感触・音・味。
「なんだかおかしいな」と感じた時、その感覚を大切にすること。
食を選ぶうえで、最も信頼できるのはあなた自身の感覚かもしれません。

■ すべてを自然栽培にするのは理想。でも…

無農薬・無化学肥料で育てられた自然栽培の作物は、たしかに理想的です。
ですが、収穫量が少なく非常に高価で、すべての人が選べるわけではありません。
そして、それが広まればさらに価格は上がり、ますます希少な存在になってしまいます。

一方で、日本をはじめ先進諸国では、食品の安全性は法律で厳しく管理されています。
「すべてを自然栽培に」ではなく、「できる範囲で、できるだけ良いものを選ぶ」
私たちは、そんなバランスのよい選択をおすすめしています。

■ 「中庸」という考え方を大切に

中国の古い哲学に「中庸(ちゅうよう)」という言葉があります。
それは、何事も極端に偏らず、バランス感覚を大切にするという考え方です。
これを中医学では、**「陰陽調和」「陰平陽秘(いんぺいようひ)」**とも言います。

たとえば、食べ物にだけ気を遣っていても、夜遅くまでスマホを見ていたり、体を動かさずに一日を過ごしていたら、健康とは言えないかもしれません。
どんなに「オーガニックな食材」であっても、生活全体の調和がとれてこそ、本当の健康につながると私たちは考えています。

■ 安心とは、信頼から生まれる

「これはオーガニックですか?」「農薬は使っていますか?」「どんな肥料を使っていますか?」
こうしたお問い合わせをいただくことがあります。
もちろん、気にかけてくださることはとても大切なことです。

ただ、スーパーでそうした情報を一つひとつ確認して買い物する人は、ほとんどいないのが現実です。
私たちは、「安心して任せられるお店」になることが大切だと考えています。

だからこそ、私たちは、

産地・栽培方法・加工方法をできるだけ公開し

台湾など信頼できるルートを経由し

日本国内での再検査や衛生チェックも徹底しています。


食べ物を選ぶとき、「安心・安全」であることはとても大切です。
でも、それにとらわれすぎて神経質になってしまえば、かえって「脾」や「肺」といった臓器に負担がかかり、心身のバランスを崩してしまうこともあります。

「おいしいね」と笑い合える食卓。
「ありがとう」と感謝して味わう心。
そして、信頼できる作り手やお店を見つけて、安心して食を楽しむこと

それこそが、健康で穏やかな暮らしへの第一歩なのだと、私たちは信じています。

▶当店が中国産を扱う理由と台湾を経由した輸入について

薬膳食材や漢方素材は、気候・土壌・水質といった自然条件が品質に大きく影響します。
たとえば日本でも、新潟のコシヒカリ、丹波の黒豆、山梨のシャインマスカット、和歌山や愛媛のみかんなど、**「この土地だからこそ最高品質になる」**という産地があります。

漢方薬や薬膳食材も同じです。
高麗人参は中国吉林省と北朝鮮の国境付近の山岳地帯で育つものが最上級とされ、黄耆(おうぎ)は内モンゴルや甘粛省産がサポニン含有量が高く高品質、当帰(とうき)は甘粛省産のものが香り高く、特に婦人科系の要薬として珍重されています。

薬膳素材も同様で、

●なつめ新疆ウイグル自治区産が中国でもっとも有名な高級。
 昼夜の寒暖差と乾燥気候により、果肉が厚く、甘味が濃く、皮が薄いのが特徴。薬膳・漢方の上級品として珍重されている。

●枸杞の実寧夏回族自治区産が世界的に評価される最高級品。黄河の流域で栽培され、水質と土壌のミネラルバランスが絶妙。
 粒がふっくらとして赤みが濃く、薬効成分(ルチンやベタイン)も豊富

●山査子山東省・河南省・河北省などが大粒で果肉が厚く、ポリフェノールも豊富。山査子は気候や土壌の影響を受けやすい。
 甘酸っぱい風味と濃い色味が品質の決め手。中医古典にも登場し、消化促進・血流改善などの働きがあるとされる。

●竜眼は広西チワン族自治区や福建省産が主要な産地。

 果肉の色が濃く、蜜のような甘味と独特の香りを持つものが上級品とされる。血を補い、こころを落ち着ける効能から、安神薬膳に欠かせない素材。

●桑の実(桑椹)は四川省や江蘇省産など肥沃な土地で育つと果実が黒紫色に熟し、糖度が高く、抗酸化成分が豊富

 特に薬用として評価されるものは、「乾桑椹」として天日干しされたもの。


このように、その土地ならではの自然条件でしか育たない素材があったり、その土地で採れたものが最高級品になったりするため、最高品質を求めると中国産を外すことはできません。

▶中国産に対する不安について

一方で、「中国産」と聞くとご不安に思われる方も多いかと思います。
実際、過去には中国国内の国営メディアが「一部の農家が禁止薬品でクコの実を処理している」と報道し、日本でもYahoo!ニュースなどで話題になりました。
また、なつめを色鮮やかに見せるための発色剤や、白きくらげの漂白剤使用など、真偽が不明な噂も存在します。

私自身が中国に訪れた際、現地の主婦から「野菜は必ず専用洗剤で洗う」と聞いたり、養豚業者が「自分の豚は食べない」という話を耳にしたこともあります。
こうした背景から、「中国産で大丈夫なのか」とご不安に思われる方が多いことは、私たちも理解しています。

※中国の農家はクコの実を禁止された化学薬品に浸し、硫黄で燻製している…国営メディアが放送
https://www.businessinsider.jp/article/293001/

▶当店の安全性へのこだわり

台湾の食品に関する安全基準はEUやニュージーランドと同等水準の国際基準を持ち、台湾国内で流通する食品はもちろん、輸入食品はロットごとに残留農薬・添加物・微生物などの検査を受け、安全が確認された製品のみ市場に流通され、日本よりも食品の安全に関しては厳しい基準があると言われています。
台湾の衛生福利部(TFDA:食品薬物管理署)による輸入食品の検査制度と基準は、非常に厳格で、乾燥果実などにも厳しい安全性管理が適用されています。

台湾 TFDA:輸入食品への厳しい検査制度

1. 検査制度(検査頻度とプロセス)

TFDAは輸入食品に対し以下のように段階的な検査を行います:

通常ランダム検査:出荷ロットのうち2〜10%を検査

強化検査:違反があった場合、検査率が20〜50%に引き上げられる

ロット単位検査:さらに違反が続く場合は、100%の検査を行い、すべてのロットを対象に検査されます。

違反が続く場合には、特定の輸入業者や産地からの輸入が一時停止されることもあります

2. 残留農薬の基準(MRL:最大残留許容基準)

台湾の基準はポジティブリスト方式:一覧にない農薬は「検出不可」となります。

許容される農薬の数も多く、詳細にわたる管理:2021年時点で約7,435件の農薬/作物組み合わせが登録されています。

上限値(MRL)が非常に厳しい:多くの農薬の残留基準は0.01 ppm程度という低い水準で設定されています。

乾燥果実(なつめ・クコなど)も対象で、他国では許容されている農薬であっても台湾では検出されると販売不可になり得ます。

3. 検出技術と手法

検出方法は高度且つ感度が高い:LC‑MS/MSやGC‑MS/MSによるマルチ残留農薬分析が標準です。

LOQ(定量可能下限)が0.01〜0.05 ppmという非常に微量レベルにも対応しています。

1. 検査体制の違い

2. 残留農薬基準(MRL)の厳しさ

例:乾燥果実(なつめ・枸杞の実)
台湾ではなつめ・枸杞など乾燥果実も対象で、少量の残留農薬でも基準超過で即販売不可になります。
日本では「基準超過=違反」であることは同じですが、実際の検査頻度が低く、市場流通後に見つかるケースもあります。

4. 台湾が厳しいと言われる理由(まとめ)

輸入時点でのロット単位検査が徹底されている
→ 日本よりも市場に流通する前に不適合品がブロックされる。

残留農薬基準がEUやNZに近いレベルで厳しい
→ 特に乾燥果実は基準が低く、ほぼオーガニック品質でないと通過が難しい。

違反するとすぐに強化検査や輸入停止になる
→ 業者ごと・原産地ごとに厳しく制限される。

添加物・漂白剤・微生物まで包括的に管理
→ 日本よりも対象範囲が広く、精密な検査が行われる。

このように、台湾(TFDA)は、EUやニュージーランドに匹敵する非常に厳しい食品安全基準を持っています。
特になつめ・枸杞などの乾燥果実は、残留農薬・漂白剤・保存料などの検査が日本よりも高精度・高頻度で行われるため、台湾市場に流通する製品は日本よりも安全性が高い傾向があります。
食べ物や飲み物で、病気を予防したい、もっと健やかに暮らしたいと願うからこそ、より安全で安心して召し上がっていただけるものを、お届けしたいと思っています。

▶栽培方法による安全性や虫・カビ発生、価格などの違い

▶商品づくりにおいて私たちが大切にしていること

自分の目で見て、臭いをかぎ、舌で味わい、五感を活かして確かな物だけを扱う。

取り扱っている商品はすべて自分たちが普段食べているものばかりです。自分たちや家族が食べて美味しい、安心して食べられると思ったものだけを取り扱っています。

台湾などの信頼できる業者から、その季節の最新のものを最小限のロットで送ってもらっています。
どうぞ安心してお召し上がりください。

薬膳茶は機械でブレンドすると、ティーバッグ1包の総重量は同じでも食材ごとの分量にバラつきが出て、抽出した味が均一になりません。そのため1包ずつ手作業で同じ分量になるよう配合しています。大変手間のかかる作業ですが、どのティーバッグも同じ美味しさでお召し上がりいただくためです。ご注文が多い際は発送にお時間をいただく場合があります。

より安心して安全にお召し上がりいただくため、ティーバッグの素材にもこだわりました。以前はドリップタイプのティーバッグを使用していましたが、現在は環境にも優しい植物由来素材を採用しています。熱湯でも安心して使え、抽出性も高く、素材本来の香りや味わいをしっかりお楽しみいただけます。小さなお子様からご年配の方まで、より美味しく、より安全に薬膳茶をお召し上がりいただけるよう心がけています。

薬膳素材には希少品や高級品も多いですが、高価なものは続けにくいのが現実です。どんな食べ物も、しばらく続けなければ実感できません。オーガニック商品も魅力的ですが非常に高価なため、当店では品質と価格のバランスを重視しています。
また、品質や内容量を優先し、包装資材や運送費などはできる限りコストを抑えるよう努めていますので、ご理解いただけますと幸いです。

お母さんが高価な漢方薬を買ってきても、子どもが「苦い」「まずい」と言って飲んでくれず、高かったのに結局そのまま放置…という話をよく耳にします。
薬膳でも、身体に良いと思ってせっかく作っても誰も食べず、お母さんだけ一人で食べたという話もよく聞きます。それでは意味がありませんよね。
当店では「まずくない」ことを大切にし、子どもから大人まで家族みんなで食べられる素材を厳選しています。

当店では、できるだけ無農薬や無化学肥料の素材を扱うよう努めていますが、虫食いだらけや中に虫がいる商品では、いくら無農薬でも食べたくありません。そのため最低限の農薬を使わざるを得ない場合があります。
ただし、保存料や防腐剤などの添加物は一切使用しておらず、薬膳茶にも香料や甘味料を加えていません。
自然の風味をお愉しみいただき、安心して毎日の養生にお役立てください。